
世界の超有名建築物のひとつ【世界遺産コロッセオ】に行ってきた記録を、コロッセオ隣にある「コンスタンティヌスの凱旋門」と併せてご紹介します。
コロッセオとは?
古代ローマ時代の「偉大さと残酷さの象徴」として、ローマ中心地に存在する円形闘技場の廃墟であり、世界的な観光地のひとつ。紀元80年に完成したとされる、築約2000年の建築物。
高さ約49メートル、円の直径は188メートル。地上4階建てで、入り口は80か所。最大5~8万人の観客が収容できたとされてる、世界最大級のスタジアム。東京ドームかそれ以上ですね。工事は紀元70年頃に始まったとされていて、工期は10年。
現代のような技術なしで10年の工期というのは相当なスピードらしく、2000年前の建築と設計の見事さは現代の建築家も唸るレベルなんだとか。現代になっても例えば重たい石の塊をどのように上部まで持ち上げたのか?といった、建設に使われた装置はほとんどわかっていないらしい。
コロッセオの建設をしていた業者の墓石にクレーンを使って石を持ち上げているような絵が残っているようで、国中の人を集めて地道な手作業で完成させたわけではないということはわかっているようですが。
さらに、コロッセオには闘技場に火山を登場させたりプールのように水を張ったり、さまざまな仕掛けがあったとされていて、古代ローマ人たちの頭脳と技術力がいかに優れていたかを表しています。
5万人ほど観客を収容してたコロッセオですが、すべての観客を12分ほどで全員外に出せただろうという研究結果があるそうで、回遊性の良い設計という点もすごいところ。
「コロッセオが崩壊すればローマは崩壊し、ローマが崩壊すれば世界が崩壊する」と言われていたほど、その当時のローマの力を象徴する建物だったよう。
昔は皇帝一族だったフラウィウス家が建設を認可したことから「フラウィウス闘技場」と呼ばれており、「コロッセオ」と呼ばれるようになったのはだいぶ後のこと。闘技場が閉鎖されてから、闘技場の近くに立っていた銅像コロッススにちなんで名付けられた。※ちなみに現在その像は無い。
僕がこれまでに個人的に訪れた場所の中で、同じくローマにある「トレヴィの泉」に次いでGoogle Mapのレビューが多く、その数21万4千件。
観光客数世界トップクラスのスペイン・バルセロナにあるガウディ建築「サグラダ・ファミリア」でさえレビューは約12万件と考えると、圧倒的な数字。世界遺産だらけのローマの中でも1番の観光名所と言っても過言ではない人気です。
コロッセオは、偉大さと”残酷さ”の象徴
コロッセオのことは2000年にラッセル・クロウ主演で公開された「グラディエーター(Gladiator)」でイメージがある人も多いかと思いますが、”闘技場”というだけあって闘う場所です。ちなみにグラディエーターは「公共の場で人や動物と戦う人」の意味。
コロッセオの用途は、人対人だけでなく、人対猛獣、公開処刑で使われていて、人が死亡することは常。それに対して観客が一般的な”娯楽”として観戦し、熱狂していたというから恐ろしい。現代で言えば、ボクシングなどの格闘技がデスマッチで、東京ドームで行われてるような状態ですかね。
約5世紀もの間この残酷な娯楽が続き、猛獣と人間が戦うような日は、1日で1,000人の剣闘士が死んだこともあるんだとか。トータル何万人という剣闘士が命を落としたコロッセオは、戦争での捕虜や犯罪者が残虐に公開処刑された場所でもある。
コロッセオでの闘技は朝~夕方くらいまでやっていたようで、幕開けは公開処刑。処刑は人が行うこともあれば、猛獣を放ち、猛獣に殺させるというケースもあったよう。しかもただ処刑するだけでなく、処刑を見世物として演出するため、囚人たちは処刑前に劇を演じさせられることもあったらしい。その結末は常に死という劇。
処刑を見ることも娯楽のひとつだったわけです。だいぶ恐ろしいですよね。しかも、コロッセオは入場無料だったらしい。
ちなみに剣闘士による闘技は元来、葬儀の時の催しだったそうで、有名戦士の死を悼む儀式として、剣闘士が死ぬまで戦った、いわゆる宗教的な始まり。それがいつからか民衆の娯楽に変わったよう。
1~3階は座席。4階は立見席。1階席は皇帝などのVIP用、中流階級は2階、それ以外は3階席。貧困層や下級労働者は4階。と階級によって分かれていた。
現在のコロッセオ見ても面影が無いのでわかりませんが、日よけのために布の開閉式屋根があり、コロッセオの外部に常駐する300人の海軍兵士がそれを広げていたとされています。
剣闘士VS剣闘士の戦いは、倒れた方が観客に向けて命乞いをし、観客が手の親指を上に向けたら”とどめを刺せ”、下に向けたら”退場して良し”の合図だったそう。今は親指を上げたらグッドみたいな意味で、下げるのはブーイングの時なんかに使われるので、当時と真逆の意味合いです。
最終的な決定権はローマ皇帝が持っていたので、観客がOKでも皇帝判断でNGもあったよう。命乞いが認められなければ、その場で最後の一撃をもらう。負けた剣闘士が死んだ”フリ”をしてないかを確かめるために、熱した鉄を押し付けて焼き印を入れ、本当に死んだかを確認していたらしい。
毎回誰か死んでいたのは確実そうですが、剣闘士に関してはそんなに毎回死んでいたわけではないようです。理由は単純に、そんなに毎回死者が出てたら人がいなくなって娯楽が見れなくなってしまうから。
強い剣闘士は人気者、スーパースター扱いで、戦う頻度は年に2回程度だったよう。どう考えても罰ゲーム的なポジションですが、自ら剣闘士を志願する人もたくさんいたんだとか。
そんなコロッセオも西暦4~5世紀に衰退します。ローマ帝国の経済が衰退してたこの時期に、闘技の継続はコストがかかりすぎて難しかったよう。さらに、キリスト教の普及もあって、コロッセオでの闘技を忌み嫌う人が増えたことも影響してる。
404年、闘技はすべて禁止となり、サーカスのようなショーがやっていたと考えられ、人が住んでいた時期もあったそう。
1349年の地震で一部崩壊。崩れた石材は上質なもので、別の建物の建造に再利用され、サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン市国)の改築にも使われています。
中世の時代、コロッセオは闘技場で死んでいった人々の霊や悪霊が彷徨う祟られた場所扱いになっていたようですが、18世紀になると世界で有数の建造物と再度名声を取り戻すことに。
1806年の地震で崩壊寸前になり、その後補強・外壁再建工事が行われて現在の状態になっている。縦揺れには強いが横揺れには弱いらしく、横揺れの強い地震があれば崩壊するかもしれないと言われている。
最近では2000年に舞台として使われたり、2003年にはポールマッカートニーがチャリティーライブをしたり、コロッセオは現代娯楽の場所として機能することが増えています。
コロッセオ見学について
【営業時間】
月曜日~日曜日(定休日なし)
8時30分~19時
【入場料】
大人1名:12ユーロ(約1,500円)
上記の価格は現地のチケット売り場で購入した場合で、オンライン予約するとプラス2ユーロで14ユーロとなります。
オンライン予約はコチラ:コロッセオ公式サイト
予約方法は、マイタビ@イタリア旅行ガイド「コロッセオで並ばずに入場する方法とは?チケットのネット予約方法」をご確認ください。だいぶわかりやすいです。
ちなみに上記の価格は、コロッセオすぐ隣に位置する世界遺産「フォロ・フォマーノ」と、「パラティーノの丘」への入場料も含まれた3か所周れるもので、2日間有効となかなか良心的。
ちなみに僕がコロッセオに行ったのは11月。一般的に観光オフシーズンなので、僕は当日券でと思って向かいました。そんな僕から言えることは、「コロッセオは別格」。ピークの時どんな状態なの?というほどの行列からの行列です。
僕は最初フラッと昼過ぎ、確か14時頃だったと記憶してますが、「当日券売り切れ」でした。このデカイ建物で11月で当日券売り切れ。ビビりましたね。
この時の選択肢としては、以下の2択。
・数日先の日程でオンライン予約して出直す
・朝一並んで翌日の当日券を狙う
僕はまだまだ滞在期間があるので出直しでも良かったんですが、翌日逃したら向こう1週間くらい雨予報だったので、翌日朝一(8時)に並んで当日券購入しました。
購入できる場所はコロッセオ、フォロ・フォマーノ、パラティーノの丘に1か所ずつの計3か所程度あるようですが、僕はそのままコロッセオ見学したかったので、コロッセオで買いました。
朝一行けば当日券は買えます。ただ、それでもそこそこ並びます。オンライン予約してたとしても、入場前に空港にあるような手荷物検査があるので、どうしてもスムーズには入れません。昼頃は人混みヤバしなので、予約してたとしても、コロッセオ見学する時は気合の朝一見学がオススメです。
【見学所要時間の目安】
30分程度
コロッセオ内は博物館みたくなってるエリアもあって、ただただコロッセオを眺めるだけではないので、じっくり見る人だと1時間程度と考えてた方が良いかもしれません。
場所はこちら
コロッセオの写真
謎の化け物。コロッセオ1階、チケット販売所近くにて。
夕日①。
夕日②。
夜景。
コンスタンティヌスの凱旋門について
ローマ帝国の皇帝コンスタンティヌスが「ミルウィウス橋の戦い」で勝利したことを記念して建設された凱旋門。315年に完成。高さ21m、幅25.7m、奥行き7.4mで、ローマにある凱旋門では最大サイズ。
”凱旋門”と言うと、一般的にフランス・パリにある「エトワール凱旋門」を差しますが、実は凱旋門というのはドイツにもスペインにも各地にあって、パリの凱旋門だけではありません。
今回なぜ一緒に紹介したかと言うと、下の写真を見ていただくとわかる通り、コロッセオのすぐ隣に位置してるからです。
ちなみにこの写真を撮ったのは朝8時頃。人少ない!と感じると思いますが、8時30分には行列できるくらい人が増えてます。
おわりに
建物の外観を見て「すげーな」と圧倒されたのは、サグラダ・ファミリアと今回のコロッセオでした。
当時のローマの人たちの設計や建設の技術もそうですが、コロッセオ建設以降過去幾度も戦争があり、自然災害もある中で、約2000年前の建物がこれだけの形で現存してるのがスゴイ。
昔は残虐なお祭りで人が集まってた場所が、今は毎日見学やらライブ利用で人が集まってる。コロッセオは今も昔も、人を引き寄せる何かがあるんでしょう。
ヨーロッパは日本と比べて地震が少ないとは言え、過去何度か地震で大きなダメージを受けてて、その補強は歴史的価値を下げないレベルでされているので、決してベストな耐震状態ではないようです。興味のある人は早めに見学しておいた方が良いのかもしれません。