
ヴァチカン市国にある【ヴァチカン美術館&サン・ピエトロ大聖堂】に行ってきた記録をご紹介します。
この記事の目次
ヴァチカン市国とは?
ヴァチカン市国とは、「ローマ教皇庁」というカトリック教会の人々によって統治される世界最小の面積の国であり、カトリックの総本山。ここまでは歴史の授業で学んだ記憶がありますね。
国家として独立したのは1929年。人口は約800人。通貨はユーロ。場所はイタリアのローマ市内、というかローマ中心地にあるイメージで、東京都の新宿駅だけ違う国、みたいな感じ。ヴァチカン市国は国ごと世界遺産に登録されています。
ヴァチカン市国とローマの間にはパスポートチェックをするいわゆる”国境”はなく、気付いたらもうヴァチカン市国内にいた、という感じになります。ちなみにヴァチカン市国の面積0.44㎢で、東京ディズニーランド(0.52㎢)よりも小さい。
ヴァチカン市国は軍事力を持っておらず、警察・警備は永世中立国スイスからの傭兵が担当してる。※以下サン・ピエトロ大聖堂にて。
現在のヴァチカン市国というかカトリックのトップ、ローマ教皇はアルゼンチン出身のフランシスコという人↓
僕は本当たまたま、ヴァチカン市国に行く2日前くらいにNetflixでトム・ハンクス主演の「天使と悪魔」を観たんですが、”ガッツリ”ヴァチカン市国&ローマが舞台の話で、宗教感や観光での見どころが勉強になったので、ヴァチカン市国行く人は「天使と悪魔」の視聴をオススメします。
ヴァチカン美術館について
16世紀に建設された500年以上の歴史を持ち、歴代ローマ教皇の収集品を展示する世界最大級の美術館で、年間600万人を超える来場者が訪れる超人気美術館でもあります。
【営業時間】
月曜日~土曜日(日曜定休)
9時~16時
【入館料】
大人1名:17ユーロ(当日券。約2,000円)
オンライン予約はオンライン予約手数料プラス4ユーロかかるので、21ユーロとなります。6~18歳までと、25歳までの学生は「Reduced ticket」というものの対象になり、8ユーロで購入できます。
オンライン予約はコチラから:ヴァチカン美術館
ヴァチカン美術館は世界でもトップレベルの人気美術館で、かなり行列するという前情報がありましたが、11月だし予約しなくても大丈夫じゃない?って予想でそのまま行ってみた結果、↓
ガラガラ。待ち時間ゼロ秒でチケット購入できました。待ち時間とは裏腹に中に入るとかなり人だかりだったので、みんな予約してきてるんだろう感はありました。
ヴァチカンは日本と同じような季節感です。違いとしては日本でいう夏前の梅雨時期はなく、10月~2月くらいまで雨が多く、11月が1番雨が多いよう(僕は11月の今現在ヴァチカンすぐ近くのローマに滞在してますが、確かに雨の日ばかり)。
観光シーズンは5~9月。特に7~8月は気温も良いし、雨も少ないし、夏休みもありで、おそらく鬼ほど混雑するでしょう。このタイミングで行く人は、オンライン予約してから行かないと、チケット購入に1時間待たされることもあるようです。
オンライン予約は操作当月+向こう2か月の計3か月分予約できます。
オンライン予約手順
①オンライン予約ページに進む:ヴァチカン美術館
②上記1~3と進むと以下の画面に遷移するので、「予約したい月」と「人数」を選択します。
③緑の丸が付いてる日は予約可能なので、そこから日付を選択。
④予約は30分単位で可能です。
⑤時間を選択したら以下の画面へ遷移します。大人は1番上のチケットを選択。
6~18歳及び25歳までの学生はReduced ticketを選択します。※学生証が必要です。オーディオガイドも付けたい場合は、「+Audioguide」を選択しましょう。
⑥金額を確認して、クレジットカード(VISAかMaster)で支払いして完了です。
【見学所要時間の目安】
2時間。ササっと見れれば十分という人であれば、1時間ちょっと見ておけばOKだと思います。
場所はこちら
ヴァチカン美術館の見どころ
どれも見どころなんだと思いますが、中でも特に注目度が高いのは「ミケランジェロ」と「ラファエロ」、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」という、イタリア盛期ルネサンス期の三大巨匠と呼ばれた3名の作品があること。
ミケランジェロとは?
本名ミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニ(1475年~1564年)という、彫刻家・画家・建築家・詩人と幅広く活動してた芸術家。レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロは「万能の人」と言われてたらしい。
本業は彫刻家だったようで、彫刻の代表作は「ダビデ像」と、後述するサン・ピエトロ大聖堂にある「ピエタ」というもの。ピエタのレプリカはヴァチカン美術館にもあって、それが↓
ピエタは、聖母マリアが磔にされて処刑されたイエス・キリストを抱く姿をモチーフとした彫刻。サン・ピエトロ大聖堂にあるものが本物ですが、保管が厳重でこんなに接近して見ることができないので、ヴァチカン美術館で見た方がわかりやすい。
ヴァチカン美術館は「システィーナ礼拝堂」という、ローマ教皇執務室であり、ローマ教皇を決定する選挙コンクラーベでも使用される聖域も見学可能で、ここにミケランジェロの絵画作品の頂点とされる「最後の審判」と「アダムの創造」が描かれている。
ヴァチカン美術館は基本どこも撮影OKですが、システィーナ礼拝堂内は一切の撮影禁止。ということで以下の画像はお借りしたものです。
アダムの創造

janeb13 / Pixabay
システィーナ礼拝堂の天井に描かれてる絵画で、神が人を想像し、命を与えるエピソードの象徴らしい。映画「E.T.」で宇宙人と人が指を合わせるシーンは、この絵がモチーフになっている。
天井は縦40メートル、横13メートルとめちゃめちゃ広く、天井画はこのアダムの創造を中心に、さまざま描かれています。天井画の制作期間は、1508年~1512年の約4年。
最後の審判

Wikipediaより引用
縦13.7メートル、横12メートルの巨大絵画。400名以上が描かれていて、中央にいるのがイエス・キリスト。キリストが死者を天国と地獄どちらに送るかをジャッジしてるところを描いたもの。制作期間は1535年~1541年。
ちなみにシスティーナ礼拝堂はサン・ピエトロ大聖堂と内部通路で繋がっているようですが、現在一般は通れなくなっている。
ラファエロとは?
本名ラファエロ・サンティ(1483年~1520年)というイタリアの画家、建築家。ヴァチカン美術館には「ラファエロの間」というラファエロゾーンが4部屋あり、そこに描かれている絵と、同じくヴァチカン美術館にある「キリストの変容」という絵が有名。
ラファエロの間
これはラファエロの間のひとつ「署名の間」にある作品「アテナイの学堂」。ラファエロの最も有名な作品のひとつで、1509~1510年に描かれたもの。中央下に描かれている左ひじをついて座る男性は、ミケランジェロがモデル。
ラファエロの間にあるその他の作品↓
天井にもびっしり描かれています。
キリストの変容
キリストが神へ姿を変えたシーンを描いたもの。ラファエロの未完の遺作となっている。引いてみるとこんな感じでなかなかデカイ。
レオナルド・ダ・ヴィンチとは?
本名レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年~1519年)は、イタリアのルネサンス期を代表する芸術家。史上最高の画家の呼び声が高く、代表作はルーブル美術館にある「モナ・リザ」。
ヴァチカン美術館には1点だけ、未完の絵画「荒野の聖ヒエロニムス」があるが、残念ながら僕が行った時はルーブル美術館に貸し出し中で実物は見れず。こういうこともあるんですよね。
ヴァチカン美術館のその他の展示品
こういう彫刻って基本全裸ですが、どこかの時代で「あそこ丸出しはいかん!」みたいな考えの人がいたようで、あそこの部分を切断し、代わりに葉っぱをつけたと聞いたことがありましたが、本物がありました。葉っぱ隊が思い出されます。
以下は「地図の間」と言われるところで、壁の絵は全部地図。ヴェルサイユ宮殿みたいな感じでした。
僕はスルーしましたけど、古代エジプトの展示品もあります。
近代アートもあって、近代アート部屋を抜けるとシスティーナ礼拝堂です。
出口へ続く螺旋階段もヴァチカン美術館の有名どころ。ちょっとわかりづらいですが、この空間の中に2つの道があります。1つは封鎖されてましたけど。
ここでご紹介してる以外の写真は以下に保管してるので、よろしければご覧ください。
個人的にオススメなヴァチカン美術館の周り方
まず最初に2つの分岐があります。左に行くと「システィーナ礼拝堂」や「ラファエロの間」があって、右に行くと「Pinacoteca」という部屋があり、そこにピエタのレプリカ、キリストの変容、荒野の聖ヒエロニムスがあります。
どちらから進まなければいけないといった決まりはないので、どちらスタートでも問題ありません。左の方が長い。右は比較的サクッと見れるので、体力のある内に左を見ておいた方が良いかなとは思います。
左に進むと以下のような分かれ道が再び。どちらを進んでも「システィーナ礼拝堂」と「ラファエロの間」にはたどり着きます。イメージとしては左はショートカットで「システィーナ礼拝堂」と「ラファエロの間」に行けるよルート。
僕の周り方は左側・右側それぞれ2周ずつの計4周。1回目はササっと歩いて、気になるのがどこにあるのか確認して、2回目にそのポイントをちゃんと見るという感じ。
ヴァチカン美術館くらい広い美術館はこの周り方が個人的にはオススメです。1つ1つじっくり見てたら2時間じゃ絶対終わらないし、見どころまで来る頃に疲れて、肝心なのをしっかり見る元気なくなったりするので。
特に閉館時間の2時間前とかに行った場合、最初にあとどれくらい残ってるかわかってないと、終盤早歩きせざるを得ない展開もあって、焦ります。ヨーロッパ来てから10か所以上美術館行きましたけど、広い美術館はまずサッと見るが本当に良い。すぐ2回目周るので、見たかったものを忘れることはないです。
ヴァチカン美術館に行った感想
ヴァチカン美術館は行って良かったと思いました。僕は丸2時間滞在しましたが、2時間十分に楽しめました。ヴァチカン美術館じゃなきゃ見れないものがたくさんあるし、展示品の数もすごい。天井画は特に見ごたえありました。
システィーナ礼拝堂はもう少し近くで見れたらなぁと思いましたけど、神聖な場所という感じは十分伝わりました。
ネックがあるとすれば、ツアーが多すぎること。僕が行った日がたまたまだったかもしれないですが、こんなにツアーが並行してるの見たのは初めて。
ツアーだとどうしても道にかたまっちゃうし、ガイドは目印の旗上げてるから作品とかぶるし、ツアー客も人それぞれ興味のレベルが違うか、全然興味なさそうな人もいて、でもそういう奴に限ってジャマなところにいる。
この辺の面倒くさい感じはちょいちょいありました。オフシーズンでもお昼前後は混雑するので、朝一もしくは閉館時間に近いタイミングに行くのが良いと思います。
サン・ピエトロ大聖堂について
カトリック教会の総本山で、サン・ピエトロはキリストの使途(弟子)の聖ペトロという意味で、使徒ペトロの墓所を祀る聖堂として建設されたもの。
1506年に着工し、なんやかんやあって1626年に完成した、世界最大のキリスト教教会。最大2万人を収容できる規模。
個人的にはヴァチカン美術館よりもこのサン・ピエトロ大聖堂の方がインパクトはすごかったです。ヴァチカン美術館から徒歩10分くらいの距離に位置しています。
【営業時間】
月曜日~土曜日(日曜、行事ごとがある日は定休)
7時~19時(4月~9月)
7時~18時30分(10月~3月)
【入館料】
無料
教会内の見学は無料で、「クーポラ」といういわゆる展望室に行く場合は有料。クーポラはドームの上の部分。
・エレベーター+階段(320段)で1人10ユーロ
・全部階段利用(551段)で1人8ユーロ
支払いは”現金のみ”です。
僕はクーポラ行きたかったんですが、現金持ってなくて行けず。ちなみにクーポラに行くと、こんな景色のようです↓

korneker / Pixabay
【見学所要時間の目安】
30分~1時間
場所はこちら
サン・ピエトロ大聖堂見学の注意点
サン・ピエトロ大聖堂は事前予約とかないので、行ったらひたすら行列に並ぶスタンスです。僕が見た限り、10時頃はめちゃめちゃ並んでて、入るまでに1時間くらいかかるかなという感じ。僕は13時頃行ったと記憶してますが、30分くらい並んで入れました。
何に並んでるかと言うと、入り口前に空港にあるような手荷物検査があって、そこでの列です。サン・ピエトロ大聖堂には服装に関するルールがあって、タンクトップに短パンのような、肌が見えすぎてる格好はNG。
Tシャツの人は普通に入れてましたが、羽織れるもの持っておくのが無難です。散々並んでも容赦なくダメって言ってくるので。中での写真撮影は全然OKです。
あと、「Vox City」というアプリをダウンロードして、音声ガイドを聞きながら見学することも可能ですが、受付の人に認証コードのようなものをもらわないと利用できず、それにはお金が必要です。確か16ユーロほどで、これも現金のみです。
サン・ピエトロ大聖堂の見どころ
迫力ありすぎの内観。まず入ってすぐの光景に圧倒されます。
見どころ①は、ヴァチカン美術館にレプリカがある、ミケランジェロ作「ピエタ」。こんな感じで遠くからガラス越しに眺めるものなので、近くで見たい人はヴァチカン美術館で。
見どころ②はベルニーニの作品。
ベルニーニとは?
本名ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598年~1680年)という、イタリアの彫刻家・建築家・画家で、バロック芸術の巨匠とされる人で、ユーロになる前のイタリア紙幣の肖像になった人。
「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」
「芸術の奇跡」
と称賛される人だったよう(Wikipedia参照)
サン・ピエトロ大聖堂にあるベルニーニ作品で、まず目を惹くのがこちら。巨大なブロンズ製の天蓋(バルダッキーノ)。祭壇の上にコレがあります。
これはかなりスゴイ。写真では到底表現できない存在感がありました。
天蓋の奥は「聖ペドロの司教座」という、教皇だけが腰かけることができる椅子。これもベルニーニ作品。
「教皇アレクサンデル7世の墓碑」
おわりに
ヴァチカン市国をしっかり楽しめた1日でした。日本とは全然違う宗教感のある世界なので、フラッと行ってもなんなのかよくわからないことが多いと思います。
この記事のようなちょっと解説したものか、もしくは「天使と悪魔」を観るとか、多少でも予習しておくと楽しめる場面が増えると思うので、ぜひ参考にしてみてください。